音アニスタッフコラム
忖度なし!IE-K1の得意ジャンルをスタッフが本気で評価!
こんにちは!ONKYO DIRECT ANIME STORE(音アニ)スタッフの岩澤です!
今回はIE-K1解説シリーズ!
IE-K1が得意な音楽ジャンルを私が本気で選んでみました!
自社製品ですが忖度なしでバシバシ行きたいと思います!(笑)
今回はプレーヤーとしてiPhone(Lightning変換端子使用)とSONY NW-ZX707を使用しました。いきなり他社製品です。怒られないかな…?また、今回使用した楽曲はe-onkyo musicにて配信中ですのでそちらも是非よろしくお願いいたします!
ZX707の評価に関しては基本的にiPhoneで感じたことプラスαと考えていただければ助かります。
楽曲選定は独断と偏見です!他の楽曲が気になる方はぜひ音アニでご試聴ください!
それでは早速参りましょう!
J-POP
まずはJ-POPから!今回は女性ボーカルと男性ボーカルから1曲ずつ選定しました!
男性ボーカルでは弾き語り曲を1つ入れておきたいという考えからアコースティックバージョンを選びました!
群青 YOASOBI
(P)2020 YOASOBI
(C)2020 YOASOBI
https://www.e-onkyo.com/music/album/bud4538182912645/
iPhone
ボーカルの息遣い、楽曲の透明感がうまく表現できています。
ボーカルの音域がかなり広めの楽曲ですが、どの音域でも自然に引き立っている印象です。
他の楽曲と比べても特にボーカルが引き立って聴こえる印象です。
ZX707
目の前にいるのでは?と錯覚してしまうほどボーカルが近く、より綺麗に表現されています。
コーラスも一人一人の声がよりくっきり出ていて、収録スタジオの真ん中に座っているような感覚です。
K1が気になっている人全員に一度は聴いてほしいと思うほど感動してしまいました。
早くも相性No.1のジャンルが出てしまったかもしれません(笑)
鱗[Augusta Camp 2006]
(P) 2014 AUGUSTA RECORDS, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC
(C) 2014 AUGUSTA RECORDS, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC
https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557538298/?tr=10
iPhone
アコースティックギターのキレの良い音と優しくも力強いボーカルが見事に再現されています。
ライブ音源ということで、その場の空気感まで表現できており高ポイントです。
個人的には高校時代、部活で何百回と弾いていた思い出の曲なのでこんなにいい音で聴けている事に感動しています(笑)
ZX707
歌声の広がりが大きくなり、より大きなステージで聴いているような感覚に。
しかしその一方で息遣いやギターのバッキングの細かい引き分けなども感じられ、目の前で聴いているような感覚にもなります。
…ライブで正面の最前席に座っているような感じですかね?
アニソン・ゲームソング
おそらく音アニのお客様が一番聴くであろうこちらのジャンル!
選んだ楽曲はもちろんK1のコラボモデルが出ているTHE IDOLM@STERとぼっち・ざ・ろっく!から!
Thank You!
THE IDOLM@STAR 765 MILLIONSTARS
(P) 2017(3,4),2018(2,5),2019(6),2020(7),2021(8),2022(9),2023(1,10) Lantis
https://www.e-onkyo.com/music/album/sme195533016526/
iPhone
ボーカルがとても綺麗に出ています。
それに負けることなく各楽器の音も表現できており、聴き慣れた方でも「こんな音が出てたんだ!」と新たな発見もあるはず。
キラキラ感も表現できており相性はかなり良さげです!
ZX707
変わらずボーカルが綺麗です。
一人一人の表情まで見えるようで、楽曲の魅力を最大限引き出せていると思います!相性は◎
余談ですが、このThank You!を聴かせて熟成させた加振酒が音アニ2号店、ECサイトで好評販売中ですので気になる方はぜひチェックしてみてください!
https://onkyodirect.jp/shop/pages/MILLIONLIVE_THANKYOU.aspx
星座になれたら 結束バンド
(P) 2022 Aniplex Inc.
https://www.e-onkyo.com/music/album/sme4534530141828/?tr=12
iPhone
こちらもボーカルが綺麗に引き出せています。
飛び跳ねるようなリードギターやついていくベース、それを支えるサイドギターとドラムも見事に表現できており、聴いていて楽しくなってきます!
ZX-707
ボーカルの透明感が増す一方で、ギターとベースの厚みが増し、まるで目の前で演奏しているかのような印象になりました。
個人的にベースの質感がより強く出ており好みの音です。相性はもちろん◎!
クラシック
続いてはクラシック!
こちらは様々な音を含んでいる為オーディオとして綺麗に鳴らすのは一番難しいジャンルだと思っています。
ちなみに私が通っていた高校には強豪のオーケストラ部があったのですが、私自身そんなに詳しいジャンルでは無いです…
《惑星》木星 グスターブ・ホルスト−ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&ヘルベルト・フォン・カラヤン
(P) 1962 Decca Music Group Limited
(C) 2013 Universal Classics & Jazz, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC
https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948258154/
iPhone
低域から高域までスムーズに鳴らせるため、違和感なく楽しめると思います。
また、音圧が低めのパートでも細かいところまで表現できており、かつ音圧が高めのパートでも迫力を伝えられています。
個人的には中音域の金管楽器が出過ぎかな…?という印象です。
ZX707
iPhoneと比較するとクリア感が大幅に向上。
特に低域の沈み込みが深くなり、より空間の広がりを感じます。
各パートの音量バランスも整い、打楽器隊も明瞭で潰れている音も無く、相性は良さげです。
ジャズ
ジャズはクラシックよりも楽器数が少なくなった分、一つ一つの主役を引き立てられるか、グルーヴ感、空気感を再現できるかが大事です。
といってもクラシック同様詳しいジャンルでは無いのですが…
So What Miles Davis
(P)SRT (Sound Recording Technology)
(C)SRT (Sound Recording Technology)
https://www.e-onkyo.com/music/album/srt022/?tr=1
iPhone
iPhoneで聴いたものの中では最も定位が出ており、どこに何の楽器があるか、ある程度はっきりと掴むことができます。
どの楽器も埋もれず、かつ優しげに響くのが印象的で、聴いていて心地よいです。
個人的にはクラシックの時と同様、少し管楽器が立ち過ぎているかな?という印象もあります。
ZX707
優しいところはより優しく、雄弁なところはより雄弁に語りかけてくるかのように響き、しかしうるさく感じないという不思議な感覚です(笑)
また、定位感もより強くなることで奥行きまで感じられるようになり、空気感、グルーヴ感がより強く感じられます。
ジャズにハマってしまいそうなくらい良い感じです!
ロック
続いてのジャンルはロックです!
ぼっち・ざ・ろっく!の『星座になれたら』もジャンル的にはロック…
ということで差別化を意識して音数が圧倒的に多いこちらの楽曲をセレクト!
SPECIALZ King Gnu
(P) 2023 Sony Music Labels Inc.
https://www.e-onkyo.com/music/album/sme4547366642308/
iPhone
非常に音数の多いこの楽曲ですが、どの帯域もバランスよく綺麗に鳴らせている印象です。
ボーカルが2パートありますが、どちらも印象的に引き出せていると思います。
個人的にはもう少し音にハリがある方が好みかな…とも思いますが十分に楽しめると思います。
ZX707
ベールを何枚も脱がせたかのようにクリアになり、よりボーカルが引き立っています。
クリアになった分より一つ一つの音の輪郭がハッキリとし、タイトに、ハリがある音になりました。
個人的には好みの音です(笑)
ヒップホップ
お次はヒップホップ!
低音のアタック感はもちろん、刻みつけるリリック一語一語を正確に表現できるか、スクラッチ等DJプレイの技も聞き取れるか、かつリズム感がもったりしないかというように、他のジャンルとは少し求められるものが違うヒップホップ。
今回は日本語ラップから世界的大ヒットを飛ばしているこの曲をセレクト!
個人的にCreepy NutsさんはANN0時代から毎週ラジオを聴いていたので、ラジオをやめてから1年で世界的にヒットして感慨深いものがあります。
…余談が過ぎました。すみません(笑)
Bling-Bang-Bang-Born Creepy Nuts
(P) 2024 Sony Music Labels Inc.
https://www.e-onkyo.com/music/album/sme4547366660890/
iPhone
リリックが正確に表現され、かつ音のキレが良いので、押韻の気持ちよさが感じられます。
また、それに負けることなくトラックに詰め込まれた技術も聴き取ることができ、良い感じです!
一般にBAドライバーが苦手とされる低音のアタック感に関しても、低音にフォーカスしたイヤホンからすると物足りないかもしれませんが、十分以上によく出ていると思います。
ZX707
iPhoneと比較すると音の分離感が向上し、色々なところから音が飛んでくるような感覚が楽しくなります。
ボーカルの表現力も向上しており、歌声の使い分けを感じられます。
低音もタイトで引き締まっていてノリノリになっちゃいます(笑)
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
忖度なしと威勢の良いこと言いつつ辛口なことをほとんど書いていない気がしますが…
そのくらいバランスの良いイヤモニということで!(笑)
その中でも、個人的に得意だと感じたジャンルは、
J-POPとアニソン・ゲームソングでした!
他のジャンルもかなり好印象だったのですが、この2ジャンルが特にIE-K1の良さが出ているなぁと感じました!
また、iPhoneで聴いても十分に楽しめるのでイヤモニが初めてという人にもおすすめできます!
もちろんDAPなど良い出力で聴くとさらに良さを引き出せるので、オーディオマニアの人にもぜひ聴いてみていただきたいです!
総評として、一般的なイヤホンに使用されているダイナミックドライバーではなくバランスドアーマチュアドライバーを採用しているため、音の粒立ちがよく、一音一音を把握しやすいのはもちろん、マグネシウム振動板の「滑らかで原音に忠実な聴き疲れしない音」という特徴が全面に出ていた印象です。
こんなに様々なジャンルを聴き比べたのは初めてでしたが、どのジャンルもソツなくこなす優秀なイヤモニだと思います!
さて、長くなってしまいましたが今回はここまで!お付き合いいただきありがとうございました!
IE-K1が気になった方はぜひ音アニでご試聴ください!スタッフ一同お待ちしております!
では。また次回!
どうやるの?イヤモニ耳型採取!
こんにちは!
ONKYO DIRECT ANIME STORE(音アニ)
スタッフの岩澤です!
今回は予告通り、耳型採取(インプレッション)の様子をお届けしたいと思います!
さて、皆様は耳型採取の経験はございますでしょうか?
…無いという方がほとんどだと思います。
私もスタッフになって初めて経験しました(笑)
おそらくカスタムIEMや補聴器を作った事がある人以外ではほぼゼロだと思います。
一人ひとりの耳型に合わせて成形するフルカスタムタイプ。
実際にどうやって耳型を取るのか、知らない方がほとんどだと思いますので、手順を簡単にご紹介していきたいと思います!
耳型採取の進め方
まず、耳型採取前に気をつけていただきたいことが3つ。
・耳掃除を2日前までに済ませる
・前日夜は飲酒を避け、睡眠をしっかりとる
・当日はイヤホンやイヤモニの利用を控える
これらは耳の腫れやむくみを抑え、より正確に耳型を採るために大事なことなんです。
耳の中はかなりデリケート。ちょっとしたことや、一見関係ないようなことでも浮腫んだりしてしまうので、耳型採取の前はお気をつけください。
それでは、実際の採取手順です!
まずは耳型採取の同意書にサインしていただきます。
こちらは耳に異常がないか確認するための書類です。
簡単な問診票のようなものですね!
次に、画像のオトスコープという器具を使用し、耳の中の状態や形、曲がり方を確認させていただきます。
耳の中の形は人によって十人十色、千差万別で、指紋と同じように生体認証にも使われるくらいには違うんです。
耳の穴は2回カーブしているんですが、2回目の少し先まで挿入します。
耳かきでもなかなかさわれないところですね!
その人の耳の大きさによってストッパーの大きさも変更します。
画像のストッパーは一番小さいもの(黄色)と一番大きいもの(白)ですが、耳が小さい人は黄色のストッパーをさらにちぎって小さくしたりすることも。
耳が小さくて不安…という方もご安心ください!
先端が光るオトペンライトという器具を使って、耳の中を傷つけないように、慎重に入れていきます。
耳型採取の作業の中で一番集中する作業です!
ストッパーが入ったら、いよいよシリコンの注入です!
医療用の混ぜると固まるシリコンを、耳の形がしっかり再現できるように注入します。
シリコンが入る感覚、日常ではなかなか味わえない不思議な感覚です。
なんというか…
水よりももっとドロドロの液体の中に入っていくというか…
私の語彙力では言い表せませんでした(笑)
感覚が鋭い人はシリコンが耳の中で固まっていくのもわかるかもしれません。
人生経験の一つとしてもおすすめです(笑)
シリコンが固ったら空気を入れながらゆっくり外して耳型の完成です!
この耳型を元にK1 Customが製作されます。
自分の耳の形を見る機会もなかなか無いと思います。
ぜひこの機会に観察してみてください!
(画像はサンプルの耳型です。)
第1カーブ、第2カーブがわかりやすい画像です。
人によってこのカーブの角度がきつかったり、方向が違ったり。
穴の大きさや形まで変わってきます。
だからこそカスタムIEMがおすすめなんです!
ちなみにこの耳型採取、通常はお店によって5,000円〜6,000円程度の耳型採取代金が必要になるんですが、音アニでK1 Customをご注文いただいた方に限り、なんと無料で採取させていただいています。
K1 Customをご注文の際はぜひ音アニにお越しください!
(ONKYO DIRECTでご注文いただいて耳型採取店舗に音アニをご指定いただいた場合は5,500円の耳型採取代金を頂戴いたします。紛らわしくて申し訳ありません…)
今回は耳型採取(インプレッション)の様子をお届けしました!
みなさんの知らない世界をお届けできたかと思います。
実際の工程として、最大で1時間程度お時間を頂きますので、ご注文の際はお時間に余裕がある時が良いと思います。
音アニのホームページから来店・注文予約もできるのでこちらもご活用ください!
https://onkyoanime.com/free/reservecalendar
それでは今回はこの辺で!
【コラム】完全解説! IE-K1の世界! 【イヤモニ】
こんにちは!
ONKYO DIRECT ANIME STORE(音アニ)スタッフの岩澤です!
今回からコラムという形で、
音アニの商品やオンキヨー株式会社のご紹介をしていければと思います。
よろしくお願いします!
今回はONKYOとFitEarの共同開発モデル!
K1 Custom IE-K1のご紹介です!
アイマスコラボやぼっち・ざ・ろっく!コラボのベースモデルとなっているIE-K1、その音質やこだわりをまとめてみました!
販売ページはこちら!
IE-K1の外観・付属品
それではIE-K1の外観や付属品を見てみましょう!
シックな箱を開けるとマルチケースが入っています。
コラボモデルでは専用のペリカンケースに入っています。
一人ひとりの耳型に合わせて成形されています。
FitEarの特徴的なフェイスプレートに憧れる方も多いのではないでしょうか。
こちらがUniversalモデル。
さまざまな人の耳に入るようにツルッとした形状です。
こちらのフェイスプレートもFitEarの特徴はそのままです。
ちなみにシェルカラー、フェイスプレートカラーもそれぞれ左右でお選びいただけます。
実際に手に取るとイメージが湧きやすいですよ!
ケーブルはFitEar cable 004 ブラックを採用。
コネクタ形状がFitEar 2pinのケーブルならリケーブルも可能です。
ドライバはONKYOが開発したマグネシウムBAドライバをフルレンジで1機搭載。
よーーーく見てみるとドライバにONKYOの刻印が確認できます。
金属の四角い箱がドライバです。
…見えましたか?(笑)
他の付属品はこちら。
UniversalにはAZLA製イヤーピースが6サイズ付いてきます。
お届けの目安としては
レギュラーモデルだとUniversalで2ヶ月、Customで3ヶ月程度、
コラボモデルだとそれぞれプラス1ヶ月ほどお時間をいただきます。
ちなみにUniversalは限定のゴールド刻印モデルの在庫販売も行っています。
こちらもかっこいいのでおすすめですよ!
IE-K1の音質
IE-K1の音質ですが、フルレンジドライバ1機ということもあり、ローからハイまで自然にスムーズというのが第一印象。しかし解像感は1ドライバとは思えないほどに高く、どの帯域もクセなくしっかり鳴らせています。また、音場は広めで分離感も高く感じられます。
音としては、全体的に繊細でありつつも瑞々しく、ボーカルを綺麗に引き出す、いわゆる「ONKYOの音」といった印象。ちなみにオンキヨーサウンドのフィロソフィーは「あたかも実在する空間の中に実像が浮かぶ様に聞こえる音を目指す」なのですが、そのフィロソフィーに沿った音色だと思います。高域の刺さりは感じにくく聴き疲れしにくい音ですね。
カスタムIEMとはいえ、聴いていて楽しくなる音でリスニング向けのイヤホンです。
余談ですが、以前販売されていた同じドライバ構成のIE-M1とはかなり違う傾向の音となっています。シェル形状などなどでここまで変わるのか…と驚いています。
IE-K1の特徴
IE-K1の特徴はなんといってもONKYOが開発したマグネシウム振動板バランスドアーマチュアドライバ!マグネシウム振動板の特性を最大限に引き出すことをテーマに開発されました。
ではその「マグネシウム振動板の特性」とは何なのか、というところなのですが、音質としては自然で素直な音で「聴き疲れしない」ことが特徴です。
技術的な特徴は難しくなるので、先に簡単にまとめると
・とっても軽い
・振動吸収性が高い
・振動が伝わりやすい
というのが大きな特徴です。ここからは難しい話になるので興味のない方はまとめまで飛ばしてしまっても…(笑)
オンキヨーは1980年代初めくらいからマグネシウムを振動板として活用したスピーカーの開発・販売を行っていました(当社調べでは世界初らしいです)。
40年以上も扱っているマグネシウム、なぜそんなにこだわっているのかと言うと、理想のスピーカー振動板の特性が関係してきます。
その特性とは
・比弾性率が高い
・内部損失が高い
・軽量
です。軽量以外は初めて聞く方が多いと思うので、
できるだけ噛み砕いて説明いたします。
まず、比弾性率というのは、その物質がどれだけ変形しにくいかを表す弾性率という数値を比重(単位面積あたりの重量)で割ったものを言います。
これが高いほど軽くて変形しにくいということになります。変形しにくいということは振動が伝わる速度が高くなります。
音も振動、波なので、振動が早く伝わる方が音に対する反応が速く、緻密な音を再現できることになります…まだ難しいですね(笑)
変形しにくさだけに着目すると、厚紙とコピー用紙、端っこを持って同時に上下に動かす(振動させる)と逆端が動く(振動が伝わる)のは厚紙のほうが速いのは想像できると思います。これが弾性率(変形しにくさ)が高いほど振動が早く伝わるということです。
さて、続いて内部損失です。
損失が高いってなんだかデメリットみたいに感じますが、振動板としてはとっても大事なんです。
これも音は振動、波という考え方が大事になってくるのですが、内部損失が高いと伝わった振動がより早く吸収・減衰されるということになります。
振動の減衰が遅いと振動(音)が残っているのに次の振動(音)がきてしまうとかぶってしますので、意図したものとは違う振動(音)になってしまいます。
これはスピーカーとしてはよくないので、振動が少しでも早く減衰する、つまり内部損失が高いほうが良いということになります。
最後に軽量。これはイメージしやすいと思いますが、振動板が軽いほど簡単に振動しやすくなります。
高音は波の幅が狭いので、振動しやすさは特に重要となります。
一度は耳にしたことがある?ハイレゾ音源というのは、人が聞こえる範囲よりも高い音まで収録・再生されるため、ハイレゾ再生にはさらに重要です。
これがスピーカーの振動板として理想の特性なのですが…
厚紙のほうが振動が速く伝わるけど軽いのはコピー用紙、振動が速く伝わるのに吸収されるのも速い、というようにそれぞれ相反する特性なので両立するのが大変なんです。
そんな3つ全てを高いレベルで両立しているのがマグネシウム。
比弾性率・内部損失が高く、実用金属の中では最も軽い。
そんな魔法みたいな素材ですが、振動板として使うには少々厄介な特性もあるのです。
マグネシウムの厄介な特性、それは加工のしにくさと腐食のしやすさです。
振動板は高音域を再生できるように出来るだけ薄く作りたいのですが、マグネシウムはプレスした時に割れやすく、薄く加工するのが難しいのです。
さらにとっても錆びやすく、錆びないためのコーティングが必要となります。
この難題の解決に40年の経験が活きてきます。
このドライバで使用しているマグネシウム振動板の厚さは45μm。
一般的なセロハンテープが50μm程度なのでその薄さが想像しやすいかと思います。
腐食問題については特殊な技術でマグネシウムの内部までセラミックスを浸透させ、マグネシウムの特性を損なわないようにしつつ、従来の3〜4倍という高い剛性を実現し、雑音成分を排除ました。
BAドライバは構造上、低音再生が苦手と言われていますが、この処理によりひずみ率を低減することができ、大きな入力が入っても低域の音崩れがなく芯のしっかりした低音を実現できました。
デメリットを消すだけでなく新たなメリットまで生み出しちゃったわけです。
まとめ
ONKYOのこだわりが詰まったマグネシウムBAをFitEarさんで組み込んだIE-K1、イヤモニは使ったこと無い…という方からオーディオマニアの方までオススメできるモデルとなっておりますので、ご興味のある方はぜひ秋葉原の音アニまで!
それでは今回はこの辺で!
次回はフルカスタムを作る際に行う耳型採取(インプレッション)の様子をお届けします!